重粒子・陽子線治療装置は、がんの治療のために使われる放射線治療装置の1つです。サイクロトロンやシンクロトロンなどの加速器から得られる重粒子(重イオン)線や陽子線を、病巣に標的を絞って照射します。陽子を使っているのが陽子線治療装置で、重粒子線治療装置は、粒子として炭素を使います。粒子線は、一定の深さ以上には進まず、ある一定の深さで最も強い作用を発揮しますので、がんの周囲の正常な細胞にほとんどダメージを与えることなく、病巣に放射線を照射することができると言われています。
これまでに重粒子線、陽子線治療の有効性が明らかになっているのは、眼球内の悪性黒色腫や軟骨肉腫、一部の頭頸部がんや非小細胞肺がん、そして肝細胞がんや前立腺がんなどです。進行したがんではなく、1つの部位に限局したがんの治療に適していると言われています。陽子線装置があるのは、がん研究センター系の病院や、筑波の研究センター、兵庫県立の医療センター、静岡県立のがんセンターなどで、重粒子線があるのは、医学総合研究所や群馬の大学などです。新たに治療装置を備える施設も増えています。ただ、高度先進医療の1つであり、患者の自己負担額が約300万円かかるのが大きな欠点です。
リニアックの進歩で、周囲の正常な細胞にあまりダメージを当てずに患部に強力な放射線を照射できるようになっていますが、粒子線治療装置の必要性自体を疑問視する声も出てきています。
様々な放射線治療
27/02/2016